W社は、パート主婦を戦力の中心としてチラシ広告の企画制作を行っている従業員数12名の小企業です。社長で創業者であるO氏は、会社は家族的な雰囲気で仕事が出来ることに注力してきましたが、就業規則といった社内の勤務ルールは現在まで敢えて設定して来ませんでした。理由は、小難しいルールに縛られるより従業員が休みたい時などは、業務多忙時でない限り喜んで休みを認めて来たという慣習があった為です。

ある時、入社にて半年経過したパート女性従業員から年次有給休暇について質問されたことがきっかけで従業員達の働き方に対する意識が経営者である自分とは大きく異なることに気づかされることになりました。パート従業員の方は、会社はいつでも休ませるのだから有給休暇の設定は無いというが、それは法律違反であると主張したのです。また、残業が発生した場合でも早く勤務が終了出来る時には早仕舞いを認めているのだから残業代の支払も無いというのも完全な法律違反だと言ってきたのです。

実は、こうした経営者と従業員の意識のズレは、今では少なくなったものの時々散見される現象です。O社長は、同業者にも相談した結果、早急に社内ルールを設定し、明確な働き方ルールを実行に移さないと従業員のモラルに悪影響が生じてしまうことを懸念し、経営者の企業理念を踏まえたルール作りを行いました。これにより、有給休暇の実施や残業等の割増賃金もきちんと計算出来るよう給与規定も整備し従業員に周知したところ皆の勤務意欲が大きく変わることに繋がりました。今では、労働法改正がある都度、皆で話し合って就業規則を改正し、同時に効率的な働き方に繋げるよう全員で努力していけるまで意識が向上することが出来ました。