C社の定年は60歳ですが、その後も嘱託社員として働ける継続雇用制度を設けています。
定年退職後、この制度を利用して4年間働き64歳で退職することになった社員から「150万円の退職金を支払ってほしい」と申出がありました。
会社としては、継続雇用の嘱託社員に対する退職金はまったく考えていなかったので「支払わない意向」を伝えました。
しかし、この社員は納得せずその後、裁判になりました。結局、会社は敗訴し、150万円の退職金を支払うことになりました。

* C社にどのような落度があったのでしょうか?
やはり、就業規則の退職金規程に決定的なミスがありました。
退職金規程の適用される社員の範囲を正社員に限定していなかったのです。
会社としては、正社員にしか支払わないものと当然のように考えていたのですが、規定に明記していなかったため、継続雇用の嘱託社員にも退職金規程が適用されると判断されたわけです。
正社員だけに適用しようとした制度にもかかわらず、適用範囲が不明確になっていたために、嘱託社員などの人にも適用されるという判決例が、このケースの他にも増えています。
おそらく、正社員だけで会社が運営されていた時代の規定が見直されていないものと思われます。
昨今は、正社員以外にも期間雇用契約の人やパート・アルバイト・短時間で働く正社員等働く人の形態が多様なものとなっており、こうした雇用形態の多様化に対応した就業規則でなければトラブルに発展する典型的な事例といえるでしょう。