I社は、地元の中堅建設業の関連会社として10年前に創業した従業員数15名の若い設備工事業の会社です。従業員は、工事担当の男性社員が多く経理・総務の女性社員3名という構成です。総務・経理に従事する従業員達は隔週2日で確実に休日を取ることが出来ていますが、工事担当の従業員達は、工事の進捗により思うように休みを取れないことも多くあり、若い男性従業員から少し不満が出始めている状況でした。

また、作業が多忙の時には残業時間も多くなり、時には休日返上で仕事に出なければならないこともあり従業員の健康管理面でも改善の必要に迫られていました。
設備工事業の仕事は、受注工事の数や工事規模により従業員の勤務状況が影響を受ける性格の為、業務多忙だからといって直ぐに人員を増やすのはリスクがあることから業務の繁閑にどう対応して休日を確保していくかが大きな課題となっていました。

改善策を検討していく中で、現在の従業員達の勤務状況等を改めて確認したところ人によって遅刻、早退や欠勤などのばらつきが見られ労働時間に対する意識が薄いことが判明しました。しかも遅刻や早退があっても給与の支払時には減額は一切なく無遅刻・無欠勤で働いている人も遅刻・早退を繰り返している人も同じ扱いとして給与が支払われており、真面目に勤務している人が損をしてしまう現状でした。

先ずは、この点を明確に区分し、遅刻・早退は時間単位で給与減額し、休みは必要な時は有給休暇を取得することを徹底化しました。これにより従業員全員の働き方が締まったものとなり効率を重視した働き方を実現するよう意識が変化して行きました。業務の効率化が進むことでダラダラ残業や無駄な休日出勤も減少し、メリハリのある働き方が実現することとなりました。ルールを決めるだけでなく、従業員に勤務実態を良く観察することで基本的な労務管理の効果が実現した良い事例となりました。