3月に入って採用広報が解禁となり、企業が学生に直接的な連絡などのアプローチが行えるようになりました。採用担当者にとっての本格的な繁忙期がスタートしましたが、今年は特に、説明会の予約などの状況が思わしくないなど、母集団形成に苦戦しているという声が頻繁に聞かれます。
そこで今回は、加熱する2025年卒の新卒採用の実態についてまとめられた「マイナビ 2025年卒企業新卒採用予定調査」の結果を見てみたいと思います。

この調査によれば、25年卒の採用予定数は文理ともに「前年並み」が増加。これまで2年連続で採用数を「増やす」と回答する企業が増加していましたが、25年卒は前年比減(文系:前年比4.4pt減、理系:前年比4.7pt減)に転じています。マイナビはこの状況について、「採用充足率が年々低くなるなか、採用予定目標数はこれ以上増やせない状態まで達しているのではないか」と解説しています。 
また、採用環境の見通しについては「厳しくなる」と回答した企業は76.6%(「非常に厳しくなる(22.8%)」+「厳しくなる(53.8%)」)に上り、採用に苦戦すると考える企業がさらに増えているという結果が出ています。

この調査では、「少子化によって減少している新卒学生に、人手不足を背景に多くの企業がアプローチしあう図式になっている」ことが指摘されており、新卒採用の目的も『将来の幹部候補・コア人材の確保』から、増加する転職者などの欠員を補うなど『目下の人手不足解消のため』へと変化の兆しが見られるようになっている」ということです。

このように、2025年卒の新卒採用がこれまでにない厳しさとなることは間違いなさそうですが、新卒採用者の初任給・基本給については、50%近い企業ですでに引上げが行われており、また上場企業の約半数が、さらなる引き上げを検討しているという結果も出ています。

こうした構造的な人員不足・賃上げの潮流の中では、いくら目前の採用活動に力を入れたとしても焼け石に水といった状況になりかねません。今後多くの企業が、自社の全体的な人事戦略を素早く見直していく必要に迫られることになりそうです。